遺骨が部屋に戻って来た。
頭蓋骨や喉ぼとけや肩甲骨がキレイに残った。
人間ぐらいのおおきな骨壺になった。
毎日、線香を灯している。
犬を育てるときに、ドッグフードだけで育てるか
美味しいものをたくさん食べさせて育てるか
飼い主は選択を迫られる。
我が家では、おいしいものをたくさん食べさせることに決めた。
近所にはほとんどドッグフードで育てている犬が多かったが、
ブタの骨も、牛の骨も食べさせた。
クリーム系のケーキも、ピーナッツも食べさせた。
鶏のから揚げもとんかつもアジフライも食べさせた。
結果的に、他の秋田犬友達の秋田犬より1年と6カ月長生きした。
でも、まだまだ長生きできたと飼い主は遺骨を見て思った。
自分の至らなさと向き合い、あと2,3年は大丈夫だったと
線香に手を合わせ、
「オマエは頭がよく、人間の言葉も理解でき、いくつかの言葉を話すことができた
きっとすぐにこの世に生まれ変われるだろう。神様がお前に気が付かないわけはない」
生きている間にもう一度で会えたら気が付けるような人間でいられるよう
飼い主は毎日精進すると決めた。
離れがたいキモチもあるが、息子同然の犬の優秀さを認められ、
一日も早く転生できることを望んでいる。
ペットロスの衝撃で何日が過ぎたか定かでは無いが、
ある朝、町全体が猫の匂いで充満していた。
まだ暗い時間の朝のことだった。
建物も、外も、猫の匂いがしていた。
翌日、空が快晴になった。
雲に乗っていた犬の姿はどこにもなかった。
夜になり、空を見上げると、
金星が大きく輝き、月は丸い姿をくっきりと現す三日月で、
飼い主は悟った。
猫バスが迎えに来たのかも…。
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