ある日のことだった。
母が旅行中に聴く音楽や漫談を探していると言った。
東京に住んでいた時の出来事だ。
驚くのは、音楽を聴くための機械と
どのような音楽を聞けばいいのかわからないという。
パソコンや携帯電話からダウンロードができるようになった時代に
何をおっしゃっているのかこっちがわからない
女子高生がいるお宅では、こんなお婆ちゃんの悩みを優しく解決
してくれることもあるでしょうけど、
仙台に来てみると、確かにわからない。
昔からある楽器屋さんはわかるけど、
CDショップやレンタルショップもすぐ近くにあったのに、
システムがわからないので利用できなかったという
切符の買い方や銀行の機械もいまいちわからないという
洗濯機や電子レンジの使い方はわかるのに
というか、母が70歳前後の頃までは、
ビデオの機械の接続でさえ自分でできたが、
携帯電話でメールのやり取りもしていたというのに、
どこかの時点で、流行や新しいことがわからなくなり、
「音楽を聴く機械はどこで売っているの?」
という、驚く状態になった。
携帯電話がガラちゃんのまんまで、
スマホに買い替えてみたいと言っているが、
マシンのバージョンアップやアップグレードで人間の能力も
若干、違いが出るのかもしれない。
家電ショップに行き、旅行中にどのような状況で音楽を聴くのか聞き、
「ラジオでいいのでは?」
という話をしたが、車で音楽を聞いている友人がいるとかで、
「移動中に歌のひとつも覚えたい」
彼女の場合、演歌ばかりの推薦だったが、
わりと新曲も覚えているのには驚いた。
いつ覚えたのか聞いてみると、友人が車で聞いていた曲という。
カラオケボックスに一緒に行くと、
カラオケの曲を探す、インプットする、という機械がある。
当然、手取り足取りご説明したが、すぐに忘れる。
説明書を読むということを怠っているのである。
「まず、字を読むことができないとスマホは使いこなせない」
かなりしつこく言い聞かせたが、
彼女が欲しい音楽が売っている場所は、意外と難しかった。
パソコンで注文すればCDぐらい届くのに、
無いとなにもできないというのも不便なものだ。
音楽の需要は、高齢化社会に意外とあるという話
番組で聞いた懐かしい曲や新しい曲、
どこに売っているかわからなくなった高齢者たちは、
近所にTSUTAYAがあっても、家電ショップでうろうろしている。
それをいうと、90歳のお婆ちゃんにお昼時に、
「カラオケを歌いたいけどどこにありますか」
と尋ねられたことがあった。
こちらも東京での出来事で、話を聞いてみると、
友人たちはとっくに他界してひとりでカラオケコンテストに出場し、
そのための練習をしたいという。
ちょうど、ランチを食べながらカラオケが歌えるスナックがあったので、
そちらを教えると、喜んでスナックに入っていった。
お年寄りでも簡単に音楽が聞ける機械と、
すぐ近くに欲しいと思う曲が売っていたらセットで買うでしょうね。
社交ダンスなどを習っているお爺ちゃん、お婆ちゃんも増えているので、
ダンス曲も売れるはず。
天使の歌声というか、天国に一番近い歌声は、
案外現役バリバリで上手だった。
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